より良き教育を求めて ちからのブログ

30年の高校教師の経験から学校・教師・教育について考える

2020-01-01から1年間の記事一覧

「常用漢字表の字体・字形に関する指針」の修正について

平成28年2月29日に、文化審議会国語分科会が「常用漢字表の字体・字形に関する指針」を報道発表したが、これは当日(平成28年2月29日)開催された第60回国語分科会に資料として提出された案と同じものである。国語分科会と報道発表が同日だったので、国語…

ネット上の「常用漢字表の字体・字形に関する指針」について

平成28年(2016年)2月29日に文化審議会国語分科会から、「常用漢字表の字体・字形に関する指針」が出された。これが現在の日本における手書き(筆写)の漢字の正誤基準である。 私は平成28年4月30日に三省堂から書籍として出版されるとすぐに購入した。目…

教育勅語について

教育勅語は3年前(2017年)、森友学園の幼稚園児たちが暗唱していたことで、再び注目された。このブログでは、教育勅語の内容については触れずに(教育勅語の解説書、いわゆる教育勅語衍義書は300冊以上出版されたという)、教育勅語の本文に使われている漢…

松尾芭蕉「銀河の序」と大星哲夫

連日の猛暑には参ってしまいます。 コロナがなければ、今年は友人と鳴子温泉から山刀伐峠、尾花沢、立石寺を訪ねてみようと思っていましたが、取りやめて9月に弥彦から寺泊、出雲崎という近場を訪ねることにしました。その下調べをしているうちに、「銀河の…

漢字の細部にこだわった採点は戦前にもあった

「木」(木・木偏)の縦画をはねると✖、というような細部にこだわった採点は、戦後、それも受験戦争が激しくなった昭和40年代に始まると言われることが多い。受験生の学力レベルが上昇し、以前と同じでは差がつかなくなったので、有名私立中学の入試でそのよ…

常用漢字表について

現行の常用漢字表を2代目の常用漢字表だと思っている人が多いだろうが、実は大正12年と昭和6年にも同じ常用漢字表という名称で官報に漢字表が公示されているので、現行の常用漢字表は4代目の常用漢字表ということになる。4つの常用漢字表は次の通りである…

アクティブ・ラーニング(主体的・対話的で深い学び)

新学習指導要領の目玉の一つが、アクティブ・ラーニングである。「主体的・対話的で深い学び」を目指し、教員が知識を教える一方的な授業ではなく、児童生徒が互いに意見を交わしながら理解を深める授業方法のことを言う。この文部科学省が推薦し、教育界で…

コグトレ

コグトレ(Cognitive Enhancement Training)とは、認知機能強化トレーニングのことである。 皆さんはご存じだろうか。私は宮口幸治氏(立命館大学産業社会学部教授。精神科医、臨床心理士。精神科病院、医療少年院での勤務を経て2016年より現職)の『ケーキ…

改めて「変形労働時間制」を考える

給特法が昨年(2019年)12月に改正され、2021年度より自治体単位で導入可能になるのが、公立学校の「一年単位の変形労働時間制」である。2019年10月1日のブログ(「変形労働時間制」導入は議論する価値もなし)にだいたいのことは書いたが、この3月に岩波ブ…

改定常用漢字表の(付)字体についての解説

常用漢字表(1981年10月1日告示)の改定が約30年ぶりに行われ、2010年(平成22)11月30日に改定常用漢字表として告示された。(文化審議会から答申されたのは6月7日。) 改定作業は文化審議会国語分科会の漢字小委員会で行われた。漢字小委員会は平成17年9月…

言葉の意味借用

新聞のテレビ欄に「山形大学で日本語研究、漢字を愛するアメリカ人」とあったので、BSテレ東「ワタシが日本に住む理由」(2月3日放送)を観た。とても面白かったので紹介したい。 番組で紹介されていたのは、山形大学助教のジスク・マシューさんである。マ…

「いただく」の尊敬語化と誤用

平成24(2012)年1月24日の新潟日報「私の視点」欄に、私の次のような文が掲載された。(現在、新潟日報に「私の視点」欄はなくなっている。) 元日の本誌に「日本語よさげ?に拡大中」という特集記事が掲載され、現代を映す新語・略語が紹介されていたが、…

文化審議会答申「敬語の指針」について

「敬語の指針」が文部科学大臣に答申されたのは、平成19(2007)年2月2日である。その「敬語の指針」第3章 敬語の具体的な使い方・第2 敬語の適切な選び方に次のような記述がある。 【8】 駅のアナウンスで「御乗車できません。」と言っているが、この敬語…