2024-01-01から1年間の記事一覧
「とはずがたり」をご存じだろうか。鎌倉中期の宮廷で、後深草院(第89代天皇、在位1246~1259)に仕えて、「二条」と呼ばれた女性の回想自伝である。 作者は院の愛を受けている間に、二人もしくはそれ以上の男性とも関係を持ち、少なくとも院を含めて三人の…
『日本霊異記』の正称は『日本国現報善悪霊異記』である。「現報」とは、現世の行為に対して現世においてその報いをうけること、「霊異」とは、人知でははかり知れないこと、という意味である。 筆者・景戒(きょうかい)が、人は自分の行為によって必ずその…
「無名抄」(久保田淳訳注 角川ソフィア文庫)を読んだ。私には「無名抄」といえば、「方丈記」の作者・鴨長明の歌論書(和歌に関する理論および評論の書)というくらいの知識しかなかった。しかし読んでみると、「歌論的部分と肩のこらない随想的乃至は説話…